エコスクール:酸性雨って何だろう?

<沿革>
 「エコスクール」は、私がこれまで国立科学博物館、神奈川県青少年センターなどで行ってきました酸性雨に関する実験実習講座を、 小中学生向けの環境教育活動の一環として、東京都立科学技術大学(現,首都大学東京)に赴任してから開始した公開講座です。
 この公開講座のアイデアは、私が1999年から2000年まで英国イーストアングリア大学に博士研究員として 留学していた頃にさかのぼります。その当時は、研究が思い通りに進まずにかなり苦しんでいましたが、 日本にいる頃に比べれば将来について色々なことを考えることができました。よく考えていたことが、「最先端の研究活動を行い、 その成果を大学の教育活動に反映させることは大学人としての使命だが、社会に研究成果を還元できるような、自分にしか出来ない何かをやりたい!」 ということでした。その時に思いついたのが、小中学生を対象した環境教育活動、題して”地球環境防衛隊構想”でした。 私と同年代の方は”ウルトラ警備隊”を連想されることと思いますが、その当時の私には「様々な汚染物質から地球を守る」 というイメージが「怪獣から地球を守る」というウルトラ警備隊のイメージとしっくりきたのでした。今から考えますと、 大変幼稚な命名でしたが、自分で研究室を主催できるようになったら実行しようと、この構想をずっとあたためてきました。
 2003年4月に東京都立科学技術大学(現,首都大学東京)に赴任したのを契機に、私の「地球環境防衛隊構想」を具体化したのが「エコスクール」です。「エコスクール」という名称は、当時の担当者であった岡部さんからいただいたものです。軍隊をイメージしてしまう「防衛隊」という名称はやはりまずいだろうということでしたが、「エコスクール」は現在の私のイメージにはぴったりな名称で大変気に入っています。


<第1回エコスクールの開催>
 記念すべき第1回目のエコスクールは2004年8月20日に開催しました。事務局広報課の方にご尽力いただいたのですが、定員(24名)までなかなか人数が集まりませんでした。最終的には私の姪と甥(サクラですが!)を含めて12名の小中学生が参加してくれました。実験の準備はかなり大変で、「酸性雨の植物」に用いるアサガオの栽培は、私の研究室の院生である佐藤絵美さんが土作りからはじめて、種まき、水やりまでのすべてを面倒みてくれました。
 エコスクール当日はなかなか盛況でした。子供達が目を輝かせながら、実験実習に取り組んでいる姿を見るのは大変嬉しいことでした。ただ、pH測定に用いたジュースや牛乳を飲みたい!と言われたときには、お腹をこわされては困りますので少々困惑しました。最後には、子供達にアンケートを書いてもらいました。概ね評判はよかったのですが、「話が長すぎる」という意見があり、今後の反省材料となりました。ただ、話していた時間は15分程度のものだったのですが、、、
 エコスクール開催後に予想外の嬉しいお知らせをもらいました。実験実習終了後に、お土産として簡易pH測定キットを子供達全員に数個づつあげたのですが(参加者が半分だったので出来たことですが)、何人かの子供達が自宅に帰ってからも自主的に雨を採取してpHを測り、夏休みの自由研究として「酸性雨」に取り組み、学校に結果をまとめて報告したそうです。その結果、学校の先生に名指してほめられたり、表彰されたりした子供もいたそうです。本当に嬉しい出来事でした。

<第1回エコスクール・フォトギャラリー>

実験前の「酸性雨」について説明
アサガオに酸をつけると...
ジュース,牛乳などのピーエイチをはかろう!
酸性雨がふると,土はどうなるなだろう?

   
 2006年4月に,私は首都大学東京から早稲田大学に赴任しました. 現在,「エコスクール」は早稲田大学理工学術院の「ユニラブ」の一環として行っています. 2008年も,2006年と同様に「ユニラブ」のなかで「エコスクール:酸性雨って何だろう?」を開催しました.

<2008年 早稲田大学『ユニラブ』フォトギャラリー>



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